平成17年度 鹿児島市学校教育研究大会 研究実践報告
平成17年度 テーマ研修「算数科」の研究内容
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※ 本校では、H16年度から3年間、「算数科」の研究を行っています。
(平成16年度の研究ページはこちらからどうぞ)
1 研究主題
子ども一人一人が見通しをもち,算数的活動を通して,生き生きと問題解決に取り組む算数学習のあり方
2 主題設定の理由
まずは,これまでの授業が「一人一人」を大切にして,しかも「生き生き」と問題解決に取り組んでいたかという反省にたたなければならない。全く子どもの個性を無視し,押しつけた授業を行っていたとは思わないが,「一人一人」「生き生き」ということばに焦点を当てることで,子どもの立場に立ったより実践的な研究になると考える。
また,「あり方」についての研究であるので,我々教師が教材やこどもたちにどのように向かい合えば,子どもたちが考え始めるのか,動き始めるのかを問う研究としたい。
(1) なぜ「一人一人」なのか。
いうまでもなく,子どもたちは個性的な存在であり,全く同じ子どもは存在しない。従って,考え方・わかり方も40人いれば40通り近い考え方・わかり方が存在すると考えられる。考え方としては,結果が類別できるため種類は少なくなると思うが,結果にたどり着くまでのわかり方は子どもなりのものがあると考えられる。
そこで,まず,子どもたちの存在そのものを認め,子どもたちなりに一生懸命考えようとする態度,考える過程,考えた結果をきちんと認めたいと考える。これらを認めるためには,子どもたちの様々な考え方・わかり方の中にある数学的な価値に我々教師が気づくことができるかどうかということが大変重要になってくる。
例えば,3年生に「7×6を七六の九九を使わずに答えを出そう」という課題を与えると,次のような答えが返ってくる。子どもにとっては,「七六42」を知っているのに使えないという大変高度な課題である。
| ア 7×6=6×7 イ 7×6=7+7+7+7+7+7 ウ 7×6=7×5+7 エ 7×6=7×7−7 オ 7×6=6×6+6 カ 7×6=8×6−6 キ 7×6=(3×6)+(4×6) ク 7×6=(7×4)+(7×2) |
これらの中には,乗法の意味,乗法の交換・結合・分配の法則などが表されており,ここにたどり着くまでの子どもたちの思考過程はそれぞれであったと思われる。ウ、エは,九九表の七の段を横に見ると考えやすいが,オ、カは,九九表の中で「七六42」の上下を見ると考えやすい。また,キ、クの考え方は,あと9種類の式に表すことができる。
このようにいろいろな考え方があり,それらの中にはそれぞれに数学的な価値が含まれている。授業には各時間の目標があるので,すべてを取り上げることはできない場合もあるが,我々教師が机間指導の中ですべての考えを認めることはできる。また,いろいろな考え方を認めてやることが,「一人一人」を大切にすることであると考える。
(2)なぜ「生き生きと」なのか。
「生き生きと」の主語は当然子どもである。しかも,前述の通り「一部」ではなく「一人一人」である。子どもたちが目を輝かせながらたのしそうに学習に取り組む姿をイメージしながら実践を重ねていきたい。ここでいうたのしさとは,「ワイワイガヤガヤ,自由気ままにのたのしさ」ではなく,「目標に向かって進む中で,分からない・できないことが,分かるようになる・できるようになるたのしさ」ととらえたい。このようなたのしい活動を算数科の学習に取り入れることで,子どもが生き生きと取り組むことになり,そこで身につけたものが生きて働く力となると考える。
毎日の授業で考えると,導入の部分でいかに子どもを引きつけるかで,その後の活動が「生き生きと」なるか否かが決まると思われる。算数の授業が始まったときに「今日の学習の自分のめあてはこれだ!」とはっきり決めている子どもは大変少ないと思われる。ほとんどの子どもは,「今日はどんな学習だろう」と待っている状態である。そのような子どもたちが学習を自分のものとしてとらえ,活動したくなる状態,考えざるを得ない状態に引き込むことがその後の「生き生きと」した活動へとつながると考える。つまり,与えられた課題であっても,それをもとに子どもたちが算数の舞台に上がり,そこでたのしく学習することが大切である。
3 研究の視点
前述の通り,この研究は我々がいかに子どもや教材に向かい合うかを問う研究にしたい。そこで,研究の視点を日々の授業の中で無理せず継続できるもの2点にしぼって実践していきたい。
<視点1>
子どもたち一人一人の考えを認め,ノートに評価を加える実践を継続する。
ア ○つけ法(愛知教育大学 志水廣氏 提唱)
イ 自己評価の継続
ウ 基本的なノート指導の徹底
<視点2>
導入の過程を工夫することによって,子どもたちが生き生きと活動できる授業を目指す。
ア 課題設定の工夫
イ めあての焦点化
ウ 評価規準の明確化
4 研究の実際
(1)視点1について
ア ○つけ法について −大明丘小学校研究報告書より引用−
1 ○つけ法とは
○つけ法とは,ノート等に問題を解く場面や気づいたことを書かせる場面で,子ども一人一人に対して,赤ペン等で○をつけていく方法である。子どもが問題が解けたのを教卓に持ってきて○をつけるのではなく,原則的に教師が子どもの机を回り,声かけとともにすべての子どもに○をつけていくようにする。子どもができていれば「いいぞ」「正解」「OK」「よくできたね」「すごいね」といった声かけとともに○をつける。
子どもが間違っていてもできているところまで,あるいはその態度を認め,○をつけた上で,問題が解決できるような指導を行う。子どもが解いている途中だったり,考えていたりするときも,助言・励ましの声かけとともに,考えのよさなどに○をつける。
2 ○つけ法のよさ(子どもにとって)
(1) ○をつけてもらうと嬉しい。声かけしてもらえるのでやる気が出てくる。
(2) ○になるまでがんばろうとする。
(3) 結果だけでなく,考えているプロセスにも○をもらえるので,考えの見通しがもてる。どこまでが○で,どこからが間違っているかが明確になる。
(4) 自分に応じた指導をしてもらえる。
(5) ○をつけてもらうと,自信をもって発表することができるようになる。
3 ○つけ法のよさ(教師にとって)
(1) 学級のすべての子どもの実態を把握することができる。
(2) 子どもに○をあげられるのは指導の成果であり,教師にとっても嬉しいことである。
(3) 素早く○をつけなければならないので,授業のどの場面で,どんな問題で○つけを行うかを明確にしておく必要がある。教材・授業のキーポイントを考えるようになる。
(4) できている子どもだけでなく,そうでない子どもにも向き合うことになる。○をつけるために,今まで以上に真剣に授業に臨み,指導もしっかりとした手だてを準備しておくことが求められるようになる。
(5) 即時指導なので,できていないことを次時に残すことが少なくなる。
(6) 学級のすべての子どもに,1単位時間1回以上必ず声かけをすることになる。どの子どもにも関わりをもつことができるようになり,生徒指導上も有意義である。
(7) 相互解決の時に,たくさんの子どもが発表するようになり,練り上げも「できる」「できない」だけでなく,より算数のよさに迫る話し合いに近づく。
4 ○つけ法のポイント
(1) スピード…復習,適用場面では,3分間で40人に○をつける程度の速さを目指す。自力解決の場面では,10分間に3回くらい回る程度の速さを目指す。
(2) 声かけ … 一人一人への声かけが大切。声かけによって信頼関係も生まれる。また,子どもへの個別指導の声かけが,他の子どもへのヒントになることもある。できている子どもへの声かけもしっかりする。
(3) 実態把握…○つけ法をしながら,子どもたちの考え方の傾向や学級内でどのような考え方が出てきているかということを把握していく。
(4) 正確さ … 答えや式,図などを正しく読み取り,この子どもがどこまでできているかなどをチェックし,○をしたり,適切な指導や声かけをする。
(5) 判断 …… 多くの子どもが解決の見通しをもっていなかったり,題意をとらえていないような場合には一斉指導に切り替える判断を行う。
イ 自己評価の継続
(ア) 自己評価についての考え方
<教師の側から>
・ 子ども一人一人のよさや可能性,学習活動に対して抱いている想いや願い,友だちのよさへの気づき等,情意面をとらえることができる。
・ 子ども一人一人の思考過程及び学習結果を把握することができる。
・ ア・イから指導法の改善など教師自身の反省に生かすことができる。
<子どもの側から>
・ 学習したことの自分なりのまとめができる。
・ 自分自身を見つめ直すことができる。
・ 友だちのよさを発見することができる。
・ 次の学習活動への意欲付けとなる。
(イ) 自己評価の観点
今日の学習を振り返って,
・ 分かったこと
・ 難しかったこと,分からなかったこと
・ 次の時間に学習してみたいこと
・ 感想(自分のがんばり,友だちのよさの発見
などを,記号化ではなく,自分なりの文章で表現させる。
・ 子どもにとっては,自分自身の学習活動を具体的に振り返るため。
・ 教師にとっては,子どもたちの内面を具体的に把握するため。
(ウ) 子どもたちの自己評価の現状
感情表現(たのしい・おもしろい),認知的内容(分かった・分からない)が中心で,自分自身のよさ・友だちのよさまで書く段階には至っていない。
その原因として,
・ 終末段階での時間確保が難しく,自己評価の経験が浅い。
・ 時間を設定しても自己評価の時間が短い。
・ 相互に自己評価を紹介し合う場が少ない。
などが考えられる。
教師が繰り返し声かけを行い,それぞれの考えを認めることで子どもたちも自己評価のポイントが絞られるのではないかと考える。
ウ 基本的なノート指導の徹底
(※授業班よりの提案分を今後掲載予定)
(2) 視点2について
ア 課題設定の工夫
イ めあての焦点化
ウ 評価規準の明確化
(※これまでに行われた研究授業をもとに整理したものを今後掲載予定)
5 実践例
実践例 第4学年「角」 ![]() |
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| 1 題材について |
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| (1) 題材の位置とねらい これまで子どもたちは,長さ,重さ,かさ,時間を表すために,直接比較,間接比較,任意単位による測定,普遍単位による測定を経験してきている。また,角については,3年生で,紙を折って長方形や正方形をつくったり,方眼紙にかいたりする活動を通し,図形の特徴をとらえる中で,直角の意味や大きさを理解してきている。 そこで,本題材「角」では,角の大きさを比較したり測定したりする活動を通して,角の大きさを,1つの辺がその端の点を中心として回転したあとにできる図形であるととらえ,今までの図形としての角から,量としての角の学習に一歩進めていくことがねらいである。 ここでの学習で身につけた,普遍単位を基に,そのいくつ分で大きさなどを表現する力は,面積や体積などにおいて,大きさを表したり,測定の仕方を考えたりする学習の基礎・基本として生きていく。 (2) 指導の基本的な立場 いろいろな角について,今まで学習してきた長さやかさの学習と同様に,直接比較,間接比較,任意単位による比較をする活動をすることにより,その概念を深めることにつながるとともに,角の大きさを比べたり求めたりする活動をおこなう中で,角の測定の意味や方法を理解できると考える。また,角を固定したものとしてみないで,直線の回転によってできる開きを表す量として理解できるようにするために,任意単位を使う活動から,普遍単位につながる過程を大切にしていく必要がある。 具体的には,まず,身近にある2種類の三角定規の角の大きさを比べる活動を取り入れる。三角定規を直接重ねたり,上に移したりして比べる活動を通して,角の開き具合で角の大きさを量としてとらえられるようにしていく。このような活動をする中で,これまで学習してきた,かさ,長さなどと同じように,任意単位のいくつ分で角の大きさを表すことができるということに気づかせていく。 次に,角の大きさは,辺の長さや面積には関係なく,辺の開きぐあいだけで決まるということを理解させるために,角度は同じで辺の長さの異なる角を提示し,三角定規の1つの角のいくつ分かで表す活動を通して,角の大きさは,見た目の辺の長さには関係なく,辺の開きぐあいで決まり,しかも数値で表すことができることを理解させていく。 さらに,角の大きさを次第に広げていき,扇子の開き方や時計の針の動き方などと比べながら観察させることにより,角の大きさが2本の線の回転量によって決まることや,2直角あるいはそれ以上の大きさの角があることに着目させるようにする。その中で,長さやかさのように,大きさを表す単位の必要性に気づかせ,「°」という普遍単位で表すことができることを知らせるとともに,分度器を使い,角の大きさを測ることができることを知らせ,角の測り方の練習をおこなう。三角定規を組み合わせてできるいろいろな角の大きさの求め方を考えたり,180°以上の角の大きさを測ったりする活動を通して,量感も育てていく。 このような学習を通して,子ども自らが,単位量の考えやいくつ分かを求めて考えるよさや,普遍単位のすばらしさ,便利さを実感することができるとともに,自ら意欲的に問題を解決していこうとする能力や態度を培っていくものと考える。 (3) 指導上の留意点 ア 角を固定した(静的な)ものとしてみないで,直線の回転によってできることを,比較・測定の活動を通してとらえさせていく。 イ 動的に角をとらえさせるために,二本の細い棒の中に折り紙でジャバラを貼り,その開き具合で,角度を自由にかえられる道具を使い,回転した部分を明確にさせる。このことから,2直角以上の角も,角といえることが明らかになる。また,量としての角の意味理解に関わり,角の大きさを分度器で測定し,加法性が成り立つことを確かめさせるようにする。 ウ 角の大きさを,見た目の大きさや形で判断するのではなく,角の大きさは,回転の量であるから,辺の長さには関係ないことを明らかにしていきたい。そのため,同じ角度の大小2つの大きさの角を準備し,角の大きさを直接比較させ,角の大きさが等しいことを実測させたり,言葉で表現させたりしていく。 エ 長さやかさなどの量の測定と同様に,任意単位による測定,普遍単位による測定へと段階を追って指導をする。最終的には,分度器を用いて手際よく測定ができるようにさせる。このとき,角度のだいたい大きさの見積もりを立ててから測るという習慣をつけさせたい。 |
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| 2 目標 |
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| (1)角の大きさ比べの活動や,角度を分度器を使って測定したり角をかいたりする活動を通し,角やその大きさなどに関心をもち,進んで角の大きさを測定したり,必要な角の大きさをかいたりしようとする。(関心・意欲・態度) (2)角の大きさについて見当をつけたり,角の大きさが形や辺の長さに関係ないことを見つけることができる。(数学的な考え方) (3)分度器を用いて,角の大きさを測ったり,必要な角の大きさをかくことができる。(表現・処理) (4)2つの直線が回転すると,いろいろな大きさの角ができることが分かり,その大きさを測定するための分度器の構造や1直角=90°の関係がわかる。また,分度器を用いた角度の測り方や,角のかき方がわかる。(知識・理解) |
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| 3 題材の評価規準 |
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| 4 指導計画(全8時間) | ||||||||||||||||||
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| 5 授業事例(3/8) |
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| (1) 本時の目標 ア 2本の棒を組み合わせた教具を使い,回転によるいろいろな角を進んで作ろうとする。(関心・意欲・態度) イ 角の大きさを表す単位としての「度(°)」がわかり,作った角の大きさを(°)を使って表すことができる。(知識・理解) (2) 本時の指導に当たって 子どもたちに,回転量としての角をとらえさせるために,2本の棒の間にジャバラを付けた道具(扇子のようなもの)を準備し,その開き具合に着目させる。この具体操作を通して,角の大きさが,棒の回転量によって決まることや,2直角,あるいはそれ以上の大きさの角があることに着目させるようにしたい。 また,1直角,2直角では表すことのできない角があるため,角を表す単位の必要性に気づかせ,角を表す単位としての「度」を知らせ,分度器の良さを理解させる。 |
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(3) 授業の実際 |
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![]() (4) 本時の評価 ア 2本の棒を組み合わせた教具を使い,回転によるいろいろな角を進んで作ることができたか。(関心・意欲・態度) イ 角の大きさを表す単位としての「度(°)」がわかり,作った角の大きさを(°)を使って表すことができたか。 (知識・理解) |