
| 11月号 |
| 心にしみるちょっといい話 |
| 本校のA・B二人の教諭は、担任する子どもが入院することになり、他の子どもたちに一枚ずつハガキを与えました。入院しているお友達にいつでもいいから投函しなさいと宛名だけは書いておいたとのことです。担任からこの話を聞いて、一人一人を大事にする心遣いに大変感動するとともに、向田邦子の「字のない葉書」という作品を思い出し、二人の担任には読んでもらいました。 ・・・・父は学童疎開する末娘に自分名宛ての宛名を書いたたくさんの葉書を持たせ、「元気な日はマルを書いて、毎日一枚ずつポストに入れなさい」といって送り出した。最初は紙いっぱいはみ出すほどの威勢のいい赤鉛筆の大マルだったが、だんだん情けない黒鉛筆の小さなマルになり、ついに×に変わった。そして、間もなく×の葉書も来なくなった。母が迎えに行ってみると、百日咳を患い、ノミだらけの頭で寝かされていた。 帰ってくる末娘を喜ばせようと、一抱えもある大物から掌にのるウラナリまで、二十数個のカボチャを一列に客間に並べて待った。娘が帰ってきた時、茶の間に座っていた父は、裸足でおもてへ飛び出し、痩せた娘の肩を抱き、声を上げて泣いた。・・・・ 最近は電話や携帯電話の普及で、葉書や手紙を書く機会がめっきり減りました。私自身は年賀状や暑中見舞い程度です。 クラスの友達から葉書をもらった入院中の子どもの嬉しそうな笑顔を想像する時、こちらも嬉しくなります。御両親もきっと喜んでくださったのではないかと思うことでした。 |
名山小学校 校長 末永 利治 |