学校長あいさつ

親切いっぱい 笑顔もいっぱい

                                   校長 常深 章 

 夏休み前半に実施した水泳教室には90人以上の参加があり、そのうち40人近くの子供たちが25mを泳ぎ切って満面の笑みを見せてくれました。7月31日には鹿児島水族館の獣医師である大塚美加氏のお話会に約100人の子供たちが参加し、いろいろな質問して盛り上がりました。ここ数年コロナ禍で実施できなかった行事ができ、参加した子供たちの笑顔を見ると実施してよかったと思っています。さらに、こちらも数年ぶりに実施した愛校作業でしたが、朝早くからの作業にもかかわらず多くの参加をいただきまして、本当にありがとうございました。おかげさまで見える所はもちろん、見えない所まできれいになり、気持ちよく2学期を始められました。汗だくで作業された皆様に心より感謝いたします。夏休み中は静まり返っていた学校に、子供たちの元気な声と姿が戻りました。行事の多い2学期が充実するように努めてまいります。

 さて、学校だより7月号で「夏休みは、過干渉でもなく、ほったらかしでもない、程よい距離感で子供たちを見守ってください。」とお願いしましたが、いかがだったでしょうか。「むごい教育」にはなっていなかったでしょうか。

「むごい教育」とは、徳川家康が竹千代と呼ばれていた子供の頃、今川義元の所で人質として受けた教育と言われています。義元の施した「むごい教育」とは、「一つ、朝は好きなだけ長寝させよ 一つ、毎食、贅沢な食事をたらふく与えよ 一つ、武術や学問は無理強いをするな 一つ、本人の望むものは何でも与えよ」というようなもので、人として腑抜けの状態にすることを「むごい教育」と考えたようです。

子供たちには、夏休みの生活リズムから学校生活のリズムに少しでも早く戻していく必要があります。そして2学期は、吉野小キャッチフレーズの2番目にあるように、互いに思い合う「親切いっぱい 笑顔もいっぱい」の学校にしていきたいです。

大石兵六 夢物語

                                   校長 常深 章

 子供たちが待ちに待ってた夏休みが近づいてまいりました。今年も終業式では「な・つ・や・す・み」を頭文字にした合言葉を話します。夏休みには子供たちを地域で見かけることが多くなると思います。子供たちを見かけましたら「人の子も我が子もみんな吉野の子」の気持ちで、見守っていただきますようお願いします。

     な まけず続けよう

     つ よい体をつくろう

     や めよう危険な遊び

     す ずしいうちに勉強しよう

     み んなで会おう9月1日

 

 さて、御存知の方も多い大石兵六の話は、吉野ヶ原に棲む野狐たちを兵六が退治に出かけ、何度も騙されてようやく仕留めて帰るという話で、絵本や漫画にもなっています。鹿児島のお菓子メーカーの商品名にも一部が使われており、物語は知らないけど、そのお菓子なら知ってるよという方も多く、吉野に関わる者にとっては誇らしい気持ちです。

この物語には吉野に現在も残っている地名が数多く出てきます。そこで、この夏休みは物語に出てくる「聖地巡り」をお勧めします。ただし、子供だけでの「聖地巡り」は危険です。野狐ならぬ不審者に遭遇する可能性もありますので、どうぞ休みの日などを使って御家族で巡ってください、きっと思い出に残る夏休みになることでしょう。

42日の夏休みが小学校時代の子供たちにとって有意義なものとなるには、大人の手助けも必要です。過干渉でもなく、ほったらかしでもない、程よい距離感で子供たちの夏休みを見守ってください。

紫陽花に 雫あつめて 朝日かな    加賀千代女

                                  校長 常深 章 

 学校で生まれたツバメが4羽、五月晴れの日に元気に巣立っていきました。それから数日して梅雨に入り、うっとうしい日が続いています。つかの間の雨上がりの朝、紫陽花の花の雫に、朝日が反射して美しい情景が見られます。学校近くにもたくさん咲きほこり、心癒され、楽しんで眺めさせていただいています。紫陽花の語源は諸説ありますが「あづさい」が訛ったものという説が有力なようです。「あづ」は、あつ(集)、「さい」は、さあい(真藍)で、青い花が集まって咲く様を表したと言われています。花言葉は「移り気」などネガティブなものがある一方で、最近では「団欒,家族の結びつき」などポジティブに考え、贈り物にも重宝がられています。小さい花が寄り集まっている様が、家族や人々の結びつきにつながっているのだと思います。

 さて、今年50年ぶりに改修された大プールに子供たちの賑やかな声が響き渡っています。工事中は車の出入りや駐車場等で大変ご迷惑をおかけいたしました。プール側の門もようやく開放され、駐車場問題も緩和されますが、今年の冬からプール横に4階建校舎の建築工事が始まり、令和7年度3月までかかる見込みです。令和7年4月の完成時に見られる子供たちの笑顔が楽しみです。

1学期も半分が過ぎ、それぞれの学級にも団結力が見え始めてきました。紫陽花の花のように、しっかり寄り集まってチームワークよく過ごしてほしいものです。

ベイカーベイカーパラドクス

                                   校長 常深 章

 今年も吉野小でツバメが巣作りをしてくれています。このまま無事に成長し、今の6年生より一足早く巣立っていく姿が見られることを願っています。吉野小では、朝、6年生がボランティア活動に励んでいる凛々しい姿が見られます。朝の会が始まると1年生の教室から元気のよい挨拶やさわやかな歌声が聞こえてきます。子供たちの元気な声と姿が見られ、活気に満ちた吉野小の朝の様子です。4月から感染予防に努めながら、少しずつですがコロナ禍前の学校生活に戻りつつあります。

 ところで、普段何気なく使っている物にも名前がありますが、名前も知らず使っている場合があります。例えば、食パンの袋についている留め具を「クロージャー」、新品の靴下に付いている金具は「ソクパス」。高級?レストランでカレーを入れているあの容器は「グレービーボート」。面白いのは、スーパーで売っている肉や魚のトレイに敷いてある白いシートを「ドラキュラマット」。誰かに言いたくなるような名前です。名前を知ると、その物自体が愛おしく感じるようなります。名前は大切です。

 ところが、知っている名前がなかなか出てこないことがあります。顔とか物の形状など名前以外の周辺情報は鮮明に脳裏に出てきているのですが、肝心な名前が出てこない。最初の1文字をもらっても出てきません。こんな状態にも名前があるらしく「ベイカーベイカーパラドクス」というらしいです。

親の思いが詰まった大切な子供たちの名前に吉野小では敬称をつけて呼ぶようにしています。お互いを大切に思い合う基本だと考えます。今年も1141人の子供たちの顔と名前を覚えようと頑張っています。

よく見、よく聞き、よく考えて 親切いっぱい 笑顔もいっぱい 伸びゆく 元気な吉野っ子

                                  校長 常深 章 

 創立152年目の伝統ある吉野小学校の新学期を1141人の子供たちと69人の職員とで迎えました。学校教育目標「自ら考え実践し、心豊かでたくましく生き抜く吉野の児童を育成する」と、冒頭の「よ・し・の」を頭文字にキャッチフレーズを掲げながら、知・徳・体のバランスが取れ、溌剌とした子供たちを育成するように努めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 4月6日は雨天のため校長室からリモートで新任式と始業式を行いました。新任式では6年生の○○さんが原稿を見ることなく、素敵な歓迎の言葉で新任の先生方を迎えてくれました。始業式では6年生の◇◇さんが吉野小校訓を自分なりの具体的な目標にしながら発表してくれました。素敵な6年生が育っている吉野小です。これから始まる学校生活が楽しみで仕方ありません。

 また、その成果が子供たちの姿で見えるようにする「一事徹底」事項を次の3つ掲げています。

一事徹底(子供たちの姿で示す)】

○ 心を込めた明るいあいさつをする。

○ くつ(トイレスリッパ)のかかとをそろえる。

○ 正しい廊下歩行をする。

 この一事徹底事項は、家庭での様子が反映される挨拶や靴並べなど、家庭教育の協力なしではなかなか成果がみられないものがあります。子供を真ん中に乗せた車の両輪として、学校と家庭が補完し合いながら、伸びゆく吉野っ子にしていきましょう。今年もどうぞよ                          ろしくお願いいたします。

16万9374

                                  校長 常深 章
 「耐雪梅花麗(雪に耐え梅花麗し)」この言葉は西郷隆盛作の漢詩と言われています。これを座右の銘にし、努力を積み重ねてきたのが大リーグで活躍し,最後は古巣の広島東洋カープで現役引退した元プロ野球の黒田博樹投手です。辛い寒さに耐えたからこそ咲く花の美しさが際立つ梅に、自分の人生や投手生活を重ねたのでしょう。黒田選手らしい座右の銘です。季節は梅花の頃から桜の開花情報が入る頃となりました。
 さて、表題の数字は何かというと、吉野小の児童が1年間に借りた本の冊数です。これはものすごい数です。1年生から6年生の全ての児童が平均して150冊近くを借りていることになるのです。読書好きな児童が多い本校は、先月、読書指導について文部科学大臣から表彰されました。
 3月は、それぞれ進級・進学に向けたまとめの月です。振り返ってみるとうれしいことや悲しいこと、時には辛いこともあったことでしょう。頑張って辛いことや苦しいことを乗り越えた子供たちは、「耐雪梅花麗」の気持ちが持てたでしょうか。小さなことの積み重ねでいいので、逃げ出さない耐性を少しずつでも身に付けさせられたらいいなと思います。
 始業式で3学期のキーワードを「最後まで」という話をしました。いよいよ今学期最後の月となります。子供たちなりに「最後まで」やり遂げ、美しい花を咲かせてほしいと思います。

卒業に向けて

                                  校長 常深 章 
 子供たちに安全で美味しい給食を食べさせるんだという思いで、5人の調理員が毎日一生懸命作っています。先月の雪の日にも温かい給食を提供してくれました。その心を込めて作った給食を卒業前の6年生に校長室で食べる機会をもちたいと、1月から校長室での会食を始めました。6人ずつ来ても3月まで続く長丁場です。校長室で初めて給食を食べるという子供たちは緊張している様子でしたが、小学校時代の最高の思い出や中学校に向けた抱負などを笑顔で話してくれて、6年生との距離がぐっと近くなったように感じました。吉野小自慢の卒業生として中学校でも活躍してくれることを期待しています。151年目の本校では、今年の卒業証書番号は22052号から始まります。これまで少なくとも2万2千人以上卒業された先輩方がいらっしゃるということになります。伝統の重みをずっしりと感じる数字です。
 さて、2月は2000年以上も前に作ったローマの暦が、3月を1年の始まりとし、2月が最後の月だったので、調整のために28日にしたと言われています。普段の月よりも2~3日短いため「2月逃げる」とも言われます。卒業・進級まであっという間です。一日一日を、1分1秒を大切にしたいものです。
 立春が過ぎ、2月も下旬となりました。土筆の姿も見かけるようになり、着実に春が近づいてきています。本校では来年度の4月から給食の調理業務が民間へ委託されます。校長室で調理員5人が作る温かい給食を囲み6年生との会食をする、この小さな出来事も小学校時代の思い出の一コマになってくれたらと思っています。

夢と目標と

                                 校長  常深 章

 今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 正月、家族で初詣に出かけました。コロナ禍が続いたせいもあり、久しぶりに家族がそろいました。隣で手を合わせている子供たちの姿を見ながら、成長の喜びをしみじみと感じることでした。
 さて、初夢にみると縁起がよいとされているのが「一富士 二鷹 三茄子」です。これには「四扇(しおうぎ)、五煙草(ごたばこ)、六座頭(ろくざとう)」という続きがあるそうです。扇は末広がり、煙草は煙が上がる様子が運気上昇、座頭は剃髪した琵琶法師を指し〝けがなし〟らしいです。皆さんはどんな初夢を御覧になりましたか。
 ところで、新年につきものの「夢」と「目標」は似ていますが、少し違います。学期が始まると子供たちに目標を書かせます。学校で目標を書かせるのは、目標を立てる行為自体がとても大切な学習であるからです。目標を口にすること、あるいは字に表すことによって夢が具体化するのです。つまり「夢」を実現するために「目標」があるのです。小さな目標の積み重ねが「夢」の実現へとつながります。元大リーガーのイチローが、あるインタビューで「夢は?」と聞かれて、「目標ならあります」と答えたらしいです。さて、子供たちはどんな目標を掲げたのでしょう。それぞれの教室には子供たちの目標が掲げられています。


 葱(ねぎ)白く 洗ひたてたる 寒さかな   松尾芭蕉

 

 土のついた深ネギを洗うと、その白さが際立ちます。子供たちの普段は見えない良い所を際立たせたい、それは教育によって成せるものであると思っています。正しい言葉遣いや良い生活習慣を心がけさせることによって、人として洗練されてくるはずです。磨けば光る所を磨きあげる教育、御家庭でも同じ思いで子育て(家庭教育)をしていただいていることと思います。良質な教育によって良さを際立たせたい、これが私の今年の目標です。
 今年も保護者の皆様方をはじめ、地域の方々にたくさんの御協力を賜りながら子供たちの健全な育成を目指します。

食とマナー

                                  校長 常深 章 
 時間走発表会に向けて自己記録を伸ばそうと駆け足に励んでいる子供たちの姿に元気をもらいます。また、2年生の教室からかけ算九九を暗唱する元気な声が聞こえてきます。目標に向かって頑張っている姿はかけがのないものです。
 さて、給食時間に子供たちの箸の持ち方を見てみると、上手に使えている子が多く見られる半面、主観的な見方ですが、上手とはいえない持ち方をしている子も見かけます。鉛筆の握り方と共通する部分が多い箸の持ち方ですが、なぜ、美しく持つ、握る方がよいのでしょう。鉛筆は、正しい握り方をしていると長く握っていても疲れにくいと聞きます。正しい握り方は確かに無駄な力が入らずに楽です。学年が進むにつれ勉強時間が長くなるので、早いうちから正しい握りを身に付けておいた方がよさそうです。しかし、箸は長く使うということ、疲れるということには結びつきません。こちらは見た目だけの問題なのでしょうか。平安時代の食事マナー「衛生秘要妙」によると「食上不得語、語面食者常患胸背痛(食事の席では会話をしない。話しながら食べると胸や背の痛みを患う)」とあり、平安時代には食事中は会話をしないのがマナーであるようです。そういえば自分が小さい頃は「黙って食べなさい。」と言われていたのを思い出します。子供のうちに鉛筆や箸の正しい持ち方や握り方、そしてマナーを身に付けさせてあげることができればいいですね。
 年の瀬も近づいてまいります。一般的に洋食が多いクリスマス、和食が多いお正月、どちらも「食」を楽しむことが多い行事です。家族や仲間との楽しい団らんを演出するのが「食」。年末年始も楽しく、そしてマナーよく食することができるといいですね。

すてきな時間を家読(うちどく)で!

                                                                                                                        校長 常深 章   
 保護者有志の方に毎月朝の読み聞かせをしていただいています。10月は6日、13日、27日の3回実施していただきました。小学校時代に多くの本と触れ合わせることはとても大切で、学校では年間の目標読書冊数を低学年120冊、中学年100冊、高学年80冊としています。低学年は月10冊、高学年は月6~7冊読むと目標が達成される計算です。デジタルでは味わえない紙質から伝わる何ともいえない良さを感じてもらいたいとも思っています。そのために読み聞かせが読書好きになるきっかけになると信じています。読み聞かせをしてくださっている保護者は「子供たちが喜ぶ顔が見られてうれしい」と言ってくださっています。皆さん、御自身の貴重な時間を使って読み聞かせに来ていただいていることに心から感謝いたします。
 さて、テレビで活躍している塾講師・タレントの林修氏は、3歳になるくらいまでに画家の祖父から紙芝居の「みにくいアヒルの子」を買い与えられたそうです。最初のうちは、祖父が紙芝居を読んでくれるのをずっと聞いていたのですが、同じものを繰り返し聞いているうちに一字一句覚えてしまい、そのうち自分が紙芝居を読み、祖父母に披
露するようになったそうです。たどたどしいながらも紙芝居をすべてそらんじる孫を見て、祖父母は手放しで褒めちぎったといいます。林氏は、この経験が自分を読書好きにし、小学校入学前に日本語力の基礎を定着させてくれ、脳のスペックを大きくしてくれたと語っています。林氏は、紙芝居を卒業すると百科事典、小学校へ上がってからは歴史に関心を抱き、小学3・4年生の頃には自分が知らないことを本や辞典で調べることが大好きになり、「歴史新聞」なるものを手書きするようになったそうです。

                                               (松永暢史「将来の学力は10歳までの読書量で決まる」より)
    秋も深まり「読書の秋」にふさわしい季節となりました。学校では14日から30日まで「秋の読書まつり」を実施します。御家庭でも期間中にテレビなどを消し、静まり返った家の中で家
族みんなで読書する日や時間を設けてみてはいかがでしょう。
子供たちにとってきっと素敵な時間となるはずです。

大切な準備

                                                                                                                     校長 常深 章

 体育で3年生がタグラグビーをしています。タグラグビーとは、相手陣地にラグビーボールを持って攻めていくゲームです。一般的なラグビーと違うところは、タックルが禁止というところです。タックルの代わりにマジックテープで腰に付けているタグ(札のようなもの)をとります。ボールを持っている人はタグをとられないようにステップで切り返したり、仲間にボールをパスしたりして、タグを守りながら相手陣地に攻めていきます。鬼ごっこ感覚で楽しめるゲームです。
 子供たちがタグラグビーを楽しんでいる様子を見ていると、今から7年前のラグビーワールドカップ2015イングランド大会で、日本が南アフリカに歴史的金星をあげた時のことを思い出しました。この試合をきっかけに、私はラグビーのルールや戦術、そして選手や指導者にも興味をもつようになりました。その時の指揮官エディー・ジョーンズヘッドコーチが、著書「勝つための準備」の中で「自信を持つ方法は、準備と努力を重ねればいいのです。」と述べています。そして、「準備と努力とは、貯金のようなものです。すればするほど自信という蓄えは増えていきます。」と言っています。万全の準備により自信を付けた日本は、3年前のワールドカップ2019日本大会では、見事初のベスト8進出となりました。
 ほとんどの親や教師が、子供たちに自信をつけさせたいと思っています。しかし、結果にこだわり、準備の大切さを理解させているかどうかは疑問です。テストの準備や、明日の授業の準備がしっかりできていると、自信をもって登校できます。試合までの練習がしっかりできていると、自信をもって試合に臨めるのと同じです。自信のもとは万全の準備にあります。また、子供にとっては、結果に対しての報酬より、努力した過程に対する報酬の方が、より高いパフォーマンスが得られるし、パフォーマンスも持続すると言われています。「よく頑張ったね」も大事ですが、「よく頑張っているね」が効果が高いということでしょうか。9月の始業式で、最後までやり遂げる魔法の言葉「あきらめない」を子供たちに紹介しました。あきらめずに頑張っている子には、素敵な称賛の言葉をかけたいものです。
 暑さも和らぎ、朝夕は過ごしやすくなりました。これから運動の秋とか学習の秋などと言われる季節になります。運動でも学習でも結果だけにこだわらず、子供たちの頑張りにも目を向け、努力をたたえていきたいものです。目標に向けて準備することが大事であることを理解させるために。

貫く棒のごときもの

                                                                                                                      校長 常深 章
 夏休みに吉野小学校の歴史について調べてみました。
 今から168年も前の安政初年、島津斉彬公が中別府と帯迫に2つの造士館分校を設立したことが元になっていると言われています。当時約100人の子供たちが通っていたそうで、その中から、桐野利秋氏、別府晋介氏、川上操六氏等の人材を輩出したと記述されています。その後、明治4年に2つの造士館分校を合併し、帯迫に外城第十二郷校を設立したことを現在の吉野小創立としています。それから学校名がいくつか変わるなどの変遷を経て、昭和22年に吉野小学校と改称されたそうです。昭和8年、吉野村の総予算96,067円に対し、吉野尋常高等小学校の予算が20,291円という記述を見つけました。驚くべきことに、なんと村の総予算の約5分の1もの額が学校に割り当てられていたことになります。当時の教育に対する熱い思いが伝わります。一方で、昭和の初期にはまだ上水道が整備されておらず、貴重な水を大石様河の泉から「こぼさぬように」人力で運んで学校用水としていたとの記述もありました。学校までのあの急な坂道を人が担いで運んでいたのかと想像すると、先輩方の苦労を知ると同時に当時は水がいかに貴重だったのか考えさせられることでした。
 私たちの吉野小には150年という長い歴史に先輩方が築いてこられた伝統と文化が一本の太い棒のように脈々と続いています。その様をシンボルツリーのアキニレが長年見守ってくれています。新年の句ではありますが、「去年今年(こぞことし)貫く棒の如きもの」高浜虚子の句のように、先輩の想いを絶やさぬように学習に、運動に、豊かな心の育成に励まなくてはなりません。
 さあ楽しみの多い2学期、子供たちとともに学校生活を充実させていきたいと思います。

見えぬけれどもあるんだよ

                                  校長 常深 章

 1年生が植えたアサガオのつるがぐんぐんと伸び、朝露に濡れて大輪の花が咲き誇っています。本校の1年生も4か月の学校生活を経て、入学当初よりあらゆる面で成長しました。そして、7月も中旬となり、子供たちにとって待ちに待った夏休みが目前に迫りました。1学期間、皆様方のおかげで、学校では微力ながら子供たちに知・徳・体のバランスの取れた教育を行うことができました。ありがとうございました。
 終業式で子供たちに向けて、次の5つの約束をします。

 な  怠けず続けよう

 つ  強い体をつくろう

 や  やめよう危険な遊び

 す  涼しいうちに勉強しよう

 み  みんなで会おう9月1日
 42日間もの夏休み期間中に、だらだらとした生活を送らせないようにしたいものです。規則正しい生活ができていないと、9月から「朝、起きられない」とか「体調を崩しやすい」などの症状が出がちです。規則正しい生活とともに自由研究に没頭したり、吉野の歴史について調べたり、運動に親しんだり、計算や漢字の練習に励んだりする夏休みであってほしいです。
 夏休みに培ったものが子供たちの心や身体や頭のなかに必ず蓄えられていきます。もし、くじけそうになった時、金子みすず氏「星とたんぽぽ」の詩のように、「見えぬけれども(子供のなかに)あるんだよ」と励ましてあげたいものです。
 最後に保護者や地域の皆様にお願いがあります。子供たちにとって安全で充実した夏休みとなるために「人の子も我が子もみんな吉野の子」の気持ちで、良い時も悪い時も子供たちに言葉掛けをしていただきますとありがたいです。大人が「ちゃんと見ているんだよ。」という心のメッセージとともに。

屠竜之技(とりょうのぎ)

                                  校長 常深 章

「昔、中国の山奥に悪竜が住みつき、時折暴れては村人に害を与えていた。この村に住む一人の青年が『この竜を退治しなければならない』と考え、竜を倒す技『屠竜之技』を身に付けるために日夜修行を積んだ。しかし、竜はそれ以降村に現れることはなかった。それでも、その若者は屠竜之技を磨き続けた。」という話があります。苦労して竜を倒す方法を学んだが、竜が存在しないので、その技を用いることがなかったということから、「屠竜之技」とは「学んでも実際に役に立たない技術」という故事になっているそうです。
 学校では地震・火事に対する避難訓練、交通安全教室、不審者対応訓練、防犯教室、心肺蘇生法講習会など多くの訓練を行っています。保護者の方々には、旗振り講習会に参加していただいたり、9月には救命救急講習会を開催したりする予定だとも伺っております。しかし、校区内には交通量の多い道路や見通しの悪い路地など子供にとって数多くの危険箇所があります。また、自然災害等も含め、予知できない災害や事故が近年多発しています。子供たちの事故を防ぐ、被害を最小限に食い止めるには、保護者や地域の方々の温かな目、声かけ等が必要です。さらに、気の緩みやちょっとした不注意等を防ぐとともに訓練等により子供自らが命を守る術を身に付けることこそが大切ではないでしょうか。子供たちが安全に過ごすことができる、そのためならこれまでの訓練等は「屠竜之技」でかまいません。
 朝の「気を付けて、いってらっしゃい。」から、夕方の「おかえりなさい。」が毎日当たり前のようにできますように、子供たちの安全に努めたいです。

川を渡るアリ

                                  校長 常深 章

 「おはようございます。」と、入学当初に比べしっかりとした足取りになってきた1年生が元気よく挨拶をするようになってきました。交差点で子供たちに安全と元気を与えている児童通学保護員の方々や保護者がいらっしゃいます。中には、小学校PTAを卒業した方も立ってくださっています。多くの方々が多方面から子供たちに支援をしていただいていることに感謝しています。また、学校周辺の落ち葉集めに取り組む6年生の姿に毎朝心打たれています。
 新学期が始まって1か月以上が経ちました。それぞれの学級運営が軌道に乗り始めている時期ですが、慣れから生じる不協和音が聞こえてくる時期でもあります。思いやりをもって助け合うことができるようになってほしいという願いから、全校朝会で次のような話をしました。
 「エジプトにナイル川という大きな川があります。長さは約6650㎞、川幅は狭いところでも500mもあるといわれています。この大きな川を小さなアリが渡るのだそうです。しかも一度になんと3000匹も。どうやって川を渡るのでしょう。
 まず、川の中で互いが離れ離れにならないようにしっかりとつながって3000匹が大きなボールのようになります。その時、半分以上は水の中に沈んでしまいます。でも、流されていく中で、水面から出ているアリが水中にもぐり、水中のアリが水面に浮かんできます。こうやって仲間と助け合いながら、水に潜ったり浮かんだりして、ほとんど犠牲を出すことなく岸にたどり着きます。  
 もしも、最初に水の上に出ているアリたちが水の中のアリたちと交代してあげなかったらどうなるでしょう。アリは水の中では生きていけません。水の上のアリたちも水の中で支えるアリがいなくなると溺れてしまいます。小さなアリは、互いに助け合うことで命を守ることができると知っているのです。
 みなさんの学級ではどうでしょうか。自分さえよければいいと思っている人はいませんよね。アリたちも協力することができます。私たち人間は協力することによってよりよい学級になることを知っています。ここに1145人の子供たちがいます。ナイル川を渡るアリのように助け合いながら学校生活を送ってくれることを願っています。」

Education First.

                                                                          校長 常深 章

 

 創立151年目の伝統ある吉野小学校の春を1144人の子供たちと83人の学校職員とで迎えました。

 みなさまはじめまして,この度の定期人事異動で参りました校長の常深と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 4月6日の始業式では希望に燃えた子供たちの姿に心強さを覚えました。入学式では初々しい1年生の姿に頼もしい未来を感じました。これから始まる子供たちとの生活が楽しみです。 

 ところで,次の言葉を覚えていらっしゃいますか。

 One child, one teacher, one pen and one book can change the world.

 Education is the only solution.  Education First.

(一人の子供,一人の教師,1冊の本,そして1本のペン,それで世界を変えられます。教育こそがただ一つの解決策です。エデュケーション・ファースト(教育を第一に)。)

                              【マララ・ユスフザイ】

 この言葉は,マララさんがタリバンからの襲撃を乗り越えて奇跡的に回復した後,16歳で国連に招かれたときの演説の一部です。教育の大切さを16歳の少女が訴えています。この言葉は,私たち大人にとって重みのあるものではないでしょうか。

 さあ,長いようで短い1年が始まります。保護者や地域の皆様方にいろいろと御協力を賜ることになりますが,「さすが吉野小」と言われるようなよい学校にしたいと思います。そのためには,保護者や地域の方々にも「Education First. (教育を第一に)」を実践していただけるとありがたいです。学校経営の中で,子供たちにできるようになってほしいこと「一事徹底」を設定しました。御家庭や地域でも見届けていただければ幸いです。

 

【一事徹底(子供たちにできるようになってほしいこと)】
○ 心を込めた明るいあいさつをする。

○ くつ(スリッパ)のかかとをそろえる。

○ 正しい廊下歩行をする。

 

トップへ