学校長あいさつ

過去を振り返り,今を見つめ,将来を展望する!         ”人生のものさし”で!!

                                                                                                                 校 長 𠮷  峯 進 

  現代の小学校期の子供たちの一生については,「人生100年時代」と言われています。その一生を1mものさしに例えると,“1m=100cm”なので,“1cm=1歳”となります。

 上図のように視覚的に表してみると,いかに小学校の6年間が人生の初期の段階であるか,だからこそ,いかに重要かが分かると思います。小学校卒業後,それまでの約8倍もの人生を歩んでいくための非常に大切な時期であることが,容易に推測されます。

 江戸時代初期の芸術の第一人者に,「本阿弥 光悦(ほんあみ こうえつ)」という人物がいました。その芸術における才覚は素晴らしく,茶,書,陶芸,絵画,蒔絵,造園等々,多岐に渡って独創的な才能を発揮し,後世の日本文化に大きな影響を与えました。その芸術分野における影響力の大きさから“日本のダ・ヴィンチ”とも称されています。

 この光悦は,徳川 家康から土地を拝領し,そこに一つの芸術村を築き,多くの弟子を育てました。光悦が弟子を指導する際に心がけていたことが,一つだけあったそうです。それは,“人前で決して激しく指導しない”ということです。これは,光悦が母親から受けた影響が大きかったようです。光悦の母親は,光悦が悪さをしてもすぐに人前で叱らず,光悦を人影に連れて行き,叱責するのでなく,光悦が納得するまで繰り返し粘り強く諭したそうです。

 このことで,光悦は自尊心を傷つけられることなく,自分の悪さを心から反省し,次にどうすべきかを的確に自覚したものと思われます。この積み重ねで育った光悦ですので,その自己肯定感は非常に高く,大きな向上心をもって作品制作に臨んだからこそ,多くの優れた芸術作品を生み出すことができたと察することができます。

 さて,人生の基盤を築く大切な小学校期に,保護者として何をしたらよいのか。上述した光悦の母親の姿から,それが見えてくるのではないでしょうか。毎日,子供に溢れんばかりの愛情を注ぐとともに,肯定と共感の言動を浴びせ,ルールからの逸脱や約束事の反故等については,叱責でなく理解するまで粘り強く諭す姿勢が肝要です。例え高学年であっても,決して遅くはありません。保護者として,このような姿勢を貫いてください。子供たちの残り90年近くを,有意義な人生にしたいものです。

 私は,3人の子供(長女,次女,長男)がいて,それぞれ成人し独立しています。この3人に対する親としての関りを振り返ってみた時,一番関りが強く記憶に残っているのは,小学校期です。同時に,“こうすればよかった”“あんなことができたのではないか”と反省させられるのも,小学校期です。子育てが終わった時,私のような思いをもたないためにも,保護者の皆様には「子育てができる今!」を大切にしてほしいと願います。

 上図の“人生のものさし”をもとに,各家庭で親子一緒に,これまでを振り返るとともに現状を語り合い,今後についての展望を見通してみてはいかがでしょうか。

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