小中連携研修会
平成31年度(令和元年度)は,本校が鹿児島市小・中連携研修会(甲南中グループ)の会場校でした。
平成31年度(令和元年度)鹿児島市小・中連携研修会(甲南中グループ) 研究のまとめ
1 グループ研究主題
生きる力を育む小中連携の在り方について~「学習指導」,「生徒指導」,「特別支援教育」の観点から~ |
2 主題設定の理由
変化の激しい社会を担う子供たちに必要な「生きる力」を育むため,確かな学力,豊かな学力,豊かな心,健やかな体の育成が学校教育に求められている。また,授業の質的改善やLD・ADHD等,学習に集中することが難しい児童・生徒への指導上の課題もある。さらに,いじめや不登校等,生徒指導上の課題も発生してきている。 そこで,同じ地域に生活する児童・生徒の健全育成や学力向上を目指し,小・中学校間で情報交換をしながら,連携して指導に当たっていくことは有意義であると考える。 |
3 研究の視点
(1)学習指導の充実を図る→A分科会 ① 確かな学力(基礎・基本,学習のしつけ,学ぶ意欲等)の育成を図る指導 ② 小学校と中学校の円滑な連携 (2)生徒指導の充実を図る→B分科会 ① 基本的生活習慣の確立 ② 配慮が必要な児童・生徒への指導・支援(不登校傾向,保健室から見た現状等) ③ 小学校と中学校の円滑な連携 (3)特別支援教育の充実を図る→C分科会 ① 個々の教育的ニーズに応じた指導・支援 ② 小学校と中学校の円滑な連携 |
4 研修会の実際
(1)実施日時
令和元年7月1日(月) 14:00~16:40
(2)参観授業及び授業内容
① 1~4年:各教室で担任による授業
② 5~6年:各教室で甲南中学校教諭とのTT授業
学 級 |
場 所 |
教 科 |
単 元 名 |
5年1組 |
パソコン室 |
総合的な学習の時間 |
パソコンで生活を豊かに |
5年2組 |
教 室 |
国 語 |
夏の夜 |
6年1組 |
教 室 |
社 会 |
3人の武将と天下統一 |
6年2組 |
教 室 |
外国語活動 |
What time do you get up? |
③ 特別支援学級:知的,自閉・情緒,肢体の3学級合同による生活単元学習の授業
(3)分科会報告
① A分科会(学習指導)
甲南中学校区共通実践事項・・・5分前行動,3分前着席,1分前黙想 |
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課 題 |
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協 議 及 び 改 善 策 |
小 学 校 |
→ |
◯ 家庭環境・担任からのはたらきかけで学習 意欲が高まることがある。生活リズムが確立 できるようにする。 ◯ TT等でその児童にあった課題を出す。 ◯ 忘れ物や記名忘れに対しては,継続して指 導していく。家庭との連携を密にする。 ◯ 学習の仕方・家庭学習のルール等,統一し た繰り返しの指導を徹底する。 ◯ 宿題・家庭学習の習慣化を図る。 ◯ 児童の自己肯定感が高まるように,宿題や 家庭学習の内容の質と量のバランスに配慮す る。 ◯ 授業最後の振り返りと家庭学習への導きを 進める。 ◯ 小中学校の交流(授業参観等)でお互いの 学校の様子を見る機会を増やす。 ◯ 専門性を生かした中学校の先生とのTTを 進める。 ◯ 中学校では,テスト毎に分野を絞って追試 している。数回個別指導をしている。また, 生徒自身でやり直しをするようにはたらきか けている。 ◯ スケッチについては,図工・美術専門の指 導主事を招聘し,教職員対象・高学年児童対 象の研修を実施している。カリキュラムマネ ジメントが必要である。 ◯ 学業指導の徹底のために,聞く・聴く姿勢 を児童生徒に育んでいく。 ◯ 小中連携を一歩前に踏み出すための提案 ① 中学校の先生による小学校での出前授業 ② 小学生と中学生との合同の授業の実施 ③ 授業を通した授業研究会 ④ 中学校への一日体験入学 ◯ 持続的・恒常的な小中連携を進める。 ◯ NRTの結果をもとに,つまずきやすい傾 向を把握し,授業の改善・工夫につなげてい く。 ◯ 9年間を見通した家庭学習の手引きが作成 できるようにしていく。 |
・ 自分の考えを言葉にで きない児童への対応(個 人差・個別化) ・ 忘れ物や記名忘れへの 対応 ・ 基本的学習の進め方の 指示 ・ 基礎・基本の定着 ・ 家庭学習の自主・意欲 化 ※ 中学校で困っているこ とや実態を小学校に下ろ してほしい。実態(課題 ・予習・授業の流し方) が分かると小学校での指 導に生かしやすい。 |
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中 学 校 |
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・ 約分等の簡単な暗算力 の定着 ・ 基礎・基本の定着 ・ 提出物の期限・ノート のまとめ方への指導 ・ 忘れ物の多さ ・ 家庭学習の充実 ・ 絵を描くことの習慣化 |
② B分科会(生徒指導)
課 題 |
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協 議 及 び 改 善 策 |
小 学 校 |
→ |
◯ 登校しぶりのある児童に対しては,家庭と の連携や学校全体での情報の共有化を図り, ケース会議を開いている。 ◯ 友達との関わりに困難さのある児童に対し ては,対応する際の流れについて共通理解を 図り,クールダウンできる場所を確保してい る。 ◯ 友達にけがを負わせた際,学校管理下で発 生した場合は,独立行政法人日本スポーツ振 興センターの災害共済給付の対象となる。学 級担任が両方の保護者に説明し,けがを負わ せた方には相手方に連絡するよう促してい る。 ◯ 児童生徒の1日の生活リズムを振り返り, 習い事が負担となっていると思われる場合 は,精選を本人や保護者に促していく。 ◯ 遅刻のときには保護者が学校に連絡するよ う,しっかりと決めておく。連絡する意義を 保護者に伝える。 ◯ 家庭と学校で正反対の態度に表す児童生徒 がいる。 ◯ 不登校の児童生徒がどの段階にあるか共通 理解を図る。 ◯ 小中学校の円滑な連携のための時間が,な かなか確保できない。 ◯ 中学校が新入学生の状況について聞きたい ので,情報交換ができればよい。 ◯ 中学校入学説明会で,新入学生に対して授 業をしてもらう機会があるといい。 ◯ 保護者とのつながり(糸)を切らないよう に粘り強く対応していく。 ◯ 学校管理下でのけがは予見できたかが争点 となる。 ◯ 生徒指導は全体的な取組と個別の指導の両 輪。 ◯ 児童生徒の個性の伸長を図りながら,生徒 指導を進めていく。 ◯ 今回の分科会における,ファシリテーター を置いてアイスブレーキング・話合いを進め ていく姿は,理想の姿であるといえる。 |
・ 廊下や階段の過ごし方 ・ 登校しぶりや友達との 関わりに困難さ等の特性 のある児童への対応 ・ 休み時間と準備時間の 区別 ・ 生活習慣の乱れによる 遅刻 ・ 忘れ物の多さ ・ 家庭内のSNSのルー ル作り ・ 中学校に対しての不安 感を軽減するための方策 ・ 情報交換の場の充実 ・ 課題の出し方や部活動 等の,授業以外における 系統的な指導の在り方 |
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中 学 校 |
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・ 自我の芽生えによる状 況の複雑化への対応及び 連携 ・ 不登校生徒への対応 ・ 支援体制の確立と遂行 ・ 生徒が抱えている問題 の適切な把握 ※ 規範意識の高さや礼儀 作法の正しさを継続して いくために,小学校での 指導内容や指導方法を知 りたい。 |
③ C分科会(特別支援教育)
課 題 |
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協 議 及 び 改 善 策 |
小 学 校 |
→ |
◯ 児童や保護者の中学進学に対する不安が軽 減できるよう,事前の支援学級の参観等を計 画する。 ◯ 中学校卒業後の進路も見据えて,早い段階 から保護者と一緒に考えていく。 ◯ 情報交換を密にして,児童がよりよい学校 生活を送れるようにする。 ◯ 機を捉え,必要に応じた情報交換や情報共 有の場を設定したい。 ◯ 学習面で支援を要する児童に対して,支援 員の数が足りないという現状がある。 ◯ 早い時期に,特別支援教育の在り方を説明 する。 ◯ 支援学級に在籍していた生徒の進路状況を 知らせることで,児童生徒や保護者の不安が 軽減できるようにする。 ◯ 支援が必要な児童生徒への声かけや支援方 法は,慎重に,丁寧にしていく。 ◯ 交流学級の生徒たちにも,支援を要する仲 間への心配り等,「受け入れる環境作り」を 促す。 ◯ 支援を要する児童生徒に,どのような配慮 が必要か,担任・学級の児童生徒にも周知さ せる必要がある。 ◯ 生徒が支援員の支援を受け入れやすくする ため,様々な工夫が必要だと思われる。 |
・ 入級指導への保護者の 理解 ・ 通常学級にいる合理的 配慮を必要とする児童 ・ 支援学級在籍児童と交 流学級児童との関わり ・ 在籍児童の実態把握 ・ 個に応じた指導 ・ 学力向上の時間の確保 ・ 学習意欲を高める指導 ・ 小中学校の情報交換の 機会の設定 ・ 個に応じた進路 ・ 効果的だった指導や支 援について,本人だけで なく家庭状況を含めた確 実な引継 |
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中 学 校 |
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・ 通常学級に在籍する, 支援が必要な生徒の増加 ・多様化への対応 ・ 支援学級に在籍する, 不登校傾向のある生徒へ の登校刺激の与え方 ・ 支援学級の在籍生徒に 対する支援の在り方 ・ 職員・保護者・関係機 関との連携の在り方 ・ 3月下旬に開かれる, 「小中連絡会」以外での 連携の工夫 |