錫山の学び~「若葉の峠」~人生の出逢いと感謝(小中共通)
■今日の画像「錫山の学び~『若葉の峠』~人生の出逢いと感謝(小中共通)」■
●「錫山が好き,我が心の故郷 錫山」●
(錫山の豊かな四季の様子・教育活動の様子をお届けします。)
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まもなく,平成30年度を終えようとしています。
本校の子どもたちの夢実現のため,職員・保護者・地域の皆さんと「協働チーム錫山号」として共に教育活動に懸命に実直に歩んできました。
その教育活動の場における校長の授業の場として全校朝会を位置づけ,子供たちだけでなく,本校職員にも語るつもりで,様々な話をしてきました。
この年齢になると,教員としてのたくさんの先輩方から多くのことを学んだ事や,嘗て何らかの関わりがあった先生方から様々なことを学ばせてもらった事への感謝の気持ちで一杯になります。
こうした中,私の人生の中で出逢った方が紹介した,松下幸之助氏の「若葉の峠」という誌とその誌とともに思い出す私の大学の頃の人の温かさに触れた経験について,2月25日(月)の全校朝会の中で以下のようなことを話しました。
【全校朝会講話 若葉の峠 人生の出逢いと感謝】
パナソニックという会社の創始者であり,日本経済界の神様と言われた,故「松下幸之助」さんという方の,「若葉の峠」という詩があります。
峠から峠に移る旅路かな
いつ聞いたのかどこで読んだのか、もうすっかり忘れてしまったが
このことばだけは今も忘れずに,時折の感慨にフト頭をかすめていく。
一つの峠を越えてホッと息をついたら
また次に峠が控(ひか)えていて、その峠を越えると
やっぱり次にまた峠がつづいていて
だからとめどもなく峠がつづいて、果てしもない旅路である。
これもまた人生の一つの真実である。
真実であるかぎり、これは誰も避けられない。
避けられなければ、やはりただ懸命に歩むほかないであろう。
高い峠、低い峠、荒れた峠、のんびりした峠
さまざまの起伏の中に、さまざまの人生が織りこまれて
それで一筋の歩みのあとがついていく。
時には雨に降られ、風に吹かれ
難渋の重い足を引きずらねばならぬこともあろうが
また思わぬ暖かい日射しにチチと鳴く小鳥の声をなつかしむこともあろう。
それでも元気で懸命に、越えられるだけの峠を越え
歩めるだけの旅路を歩みたい。
若葉の峠に、また新しい意欲をおぼえるのである。
松下幸之助
この松下幸之助さんの「若葉の頃」という詩と共に思い出す,その後の人生に大きな影響を与えた大学生の頃の経験のことを少し紹介します。
それは,大学3年生の夏休みのことでした。当時乗り回していたバイクで,日本一周の旅をしたことがあります。鹿児島を出たのが7月7日,鹿児島に戻ってきたのが,8月17日。
40日間の野宿中心のツーリング旅でした。
その間,多くの出会いと出来事がありました。
① 広島の田舎町の道路沿いで野外テントを張っていたら,自分の息子も日本一周の旅に出
ているんですよと言っておにぎりを差し入れてくれたおばさん。
② 飛騨高山から金沢市に向かうスーパー林道の途中の温泉町でのこと。何とガス欠になり,
所持金が100円程しかなく,土曜日で郵便局も開いてなく困ってしまい,仕方なく通りか
かったガソリンスタンドでたった100円分のガソリンをお願いしたところ,事情を聞いた
地元の青年とおじさん二人が,地元の神社の祠を宿として提供してくれた上,土・日に食べ
るものもないだろうからと,二日分のおにぎりと5000円程のお金を,見ず知らずの校長
先生にくれたのでした。
③ 秋田県の男鹿半島の岬の灯台でテントを張ったときのこと。台風の影響で風雨が強まる
中,危険だからと灯台の宿舎に泊めてくれた方。
④ 日本最北端の宗谷岬から網走に向かう途中,エンジントラブルで動けなくなったところ
を,網走の町までバイクを軽トラック積んで,わざわざバイク修理店まで連れて行ってく
れたおじさん。
⑤ 旅の途中では,信州の美ヶ原という高原で見た星空の何と美しかったことか。同じように
バイクで日本一周のバイクツーリングの青年と数日間旅を共にし,北海道の利尻島・礼文島
のユースホステルでの宿泊していた若い人たちとの交流。
人の心の温かさに触れ,多くの出来事がその後の人生に様々なよき影響を与えてくれました。今でも,旅の途中に出会った皆さんに,本当に感謝感謝の人生スタートの若かりし頃のよき経験でした。今でも,本当にありがとうの気持ちでいっぱいです。
さて皆さんは,まさに,まだまだこれからという長い長い人生の中で,これからの未来に向かって歩んでいます。
ちょうど今は,1年間のまとめ・しめくくりの時期に当たり, 各学年の峠にさしかかっています。
松下さんは,
高い峠や低い峠,あれた峠やのんびりした峠が人生の中に織り込まれていく,
それぞれの峠を超えていく中で一筋の歩みの跡がついていくと言っています。
それぞれの峠越えの中で,足取りが重くなる日もあれば,小鳥の声を懐かしむこともあると述べています。
小学生,中学生の皆さんにとっては,今の各学年の峠は,まだそんなに高い峠ではないのかもしれません。でも,誰もがいずれ,いろんな峠を経験します。そんな時,この錫山で学んだ一年一年を思い出しながら,新たな峠に向かってほしいと思います。
本校の子どもたちや職員が,この松下幸之助氏の「若葉の峠」の詩を心に留めて,これからの人生を心豊かに歩んでいって欲しいと願ってやみません。
ここでの出逢いにもまた感謝感謝の気持ちで,あと僅かとなった平成の年を終えたいと思います。